1歳未満の赤ちゃんに、はちみつは厳禁

1歳未満の赤ちゃんに、はちみつを食べさせてはいけないことをご存知ですか。
はちみつは栄養価が高いため、赤ちゃんの離乳食に最適だと考えている人も多く、インターネットにママたちが投稿する離乳食のレシピにもはちみつが使われているものが多くみられます。
しかし、1歳未満の赤ちゃんにはちみつを食べさせると、死亡する危険があります。
実際に2017年2月、東京都に住む生後5か月の赤ちゃんが、はちみつを食べて死亡するという悲しいニュースが話題になりました。

栄養たっぷりのはちみつ、なぜ赤ちゃんに食べさせてはいけないのでしょうか。
それは、赤ちゃんがはちみつを食べると、乳児ボツリヌス症という病気を発症する危険があるからです。

乳児ボツリヌス症とは、1歳未満の赤ちゃんの大腸内でボツリヌス菌が増え、それが毒素を発生させる病気です。
菌の潜伏期間は3日から30日です。
重症になると、呼吸まひを起こして死に至る恐い病気です。

ボツリヌス菌は芽胞といわれるカビの胞子のような状態で、土の中などに存在します。
しかしこの芽胞が土から植物に移り、花粉が汚染されていることがあるのです。
そして、花から密を取る蜂蜜も、花粉に触れてボツリヌス菌の芽胞に汚染されていることがあるため、はちみつにも芽胞が混ざっている可能性があります。

ボツリヌス菌は大人でも食中毒を起こすバイ菌ですが、芽胞の状態では大人は食中毒を起こしません。
しかし、1歳未満の赤ちゃんはまだ腸が成長しておらず、腸内環境が整っていないことや、母乳やミルクなどの栄養価の高い食事を常に食べていることなどから、ボツリヌス菌の芽胞にとっては居心地のいい環境で、腸内で増殖しやすいのです。

ボツリヌス菌の芽胞は蜂蜜だけでなく、野菜ジュースやコーンシロップ、黒糖にも含まれていることがあります。
これらの食品は1歳未満の赤ちゃんには食べさせないよう注意しましょう。

乳児ボツリヌス症の症状や治療法

乳児ボツリヌス症になると、9割の赤ちゃんが初期症状として5日以上の便秘が続きます。
このほかおっぱいを飲む力が弱くなる、元気がなくなる、泣き声が小さくなる、頭が支えられないなどの症状が出ることがあります。

しかし大半は、治療で治ります。
消費者庁の発表によると、致死率は1~3%です。
しかし突然死症候群のうち数パーセントは、乳児ボツリヌス症が原因との海外の報告もありますから、致死率はこれ以上である可能性も考えられるのです。
乳児ボツリヌス症が疑われる症状が出たら、すぐにお医者さんに診てもらいましょう。

病院で乳児ボツリヌス症と診断されたら、呼吸を確保し、症状を軽減させる対症療法が行われるほか、抗体を投与して治療を行います。

乳児ボツリヌス症を予防するためにも、離乳食には野菜ジュースやコーンシロップ、黒糖を食べさせないよう十分に注意しましょう。